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「はしか」はなにが怖い? 症状や予防・対策について

2016-09-19


執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
今年は「はしか」に関連したニュースを多く目にします。
8月には、外国帰りの男性が、発熱や発疹がある状態で幕張メッセでのコンサートに行き、「二次感染の恐れがある」と注意喚起されていましたね。「子どものときにワクチンを打っていれば、大丈夫」と思っている大人は多いはず。それにもかかわらず、どうして今これほど騒がれているのでしょうか。
そもそも「麻疹(はしか)」とはどういう病気なのか、注意すべきことはどこにあるのか、詳しくみていきましょう。

■麻疹(はしか)とは?
麻疹は「はしか」とも呼ばれていて、「麻疹ウィルス」による急性発熱性発疹性のウィルス感染症です。感染力が大変強く、死亡することもある重症の感染症です。
一番多く発症している年齢では1歳代が最も多く、次いで6~11か月、2歳代の順です。ワクチンをしていない乳幼児は免疫力がないため、日本では年間50人ほどが命を落としています。また、成人麻疹の増加が問題となっており、10~20代の発症が多く確認されています。

■麻疹(はしか)にかかる原因は?
麻疹ウィルスへの感染が原因です。このウィルスは、感染力が非常に強く、人から人へ感染します。おもなウィルスの感染経路には以下の3つのものがあります。
1. 感染者がウィルスを出しそれが空気中を漂って、それを吸い込むことで起こる「空気感染」
2. 感染者の咳やくしゃみを吸い込むことで起こる「飛沫感染」
3. ウィルスが付いたものを触ることで起こる「接触感染」

麻疹の感染経路は、このいずれにも該当します。
感染する期間は、発疹が出る4日前から発疹が出た後4~5日位までで、最も感染力が強いのは、発疹が出る前の期間です。

■麻疹(はしか)の症状とはどういうもの?


・前駆期

10日~12日間の潜伏期間があり、その後発症します。
麻疹の症状の特徴は、発熱が2回繰り返されるということです。そのため、最初の発熱で麻疹だと判断することは難しく、ほとんどがただの風邪と診断されてしまいます。
「発熱」や「咳」など、風邪の症状と同じように「倦怠感」「咳」「鼻水」「くしゃみ」などの上気道症状が現れます。また38℃前後の発熱が数日続き、結膜炎のように目が充血し、目脂(めやに)などが出ます。
乳幼児では、消化器症状である「下痢」や「腹痛」の症状が出ることもあります。
前駆期には、麻疹の特徴的な「コプリック斑」がでます。コプリック斑とは、口の中で頬の粘膜の裏側に隆起した1㎜程度の小さな斑点です。これは、全身に発疹が出る1~2日前に出る斑点で、麻疹と診断する手掛かりとなるものです。


・発疹期

前駆期を過ぎるといったん熱は下がりますが、半日程度経った後に再び39℃以上の高熱が出て、同時に身体の表面に発疹が出てきます。発疹は、耳の後ろから顔全部、体幹部、首や腕まで出始めた後、2日後には四肢末端まで広がってきます。
「発疹期」と呼ばれるこの期間は、はじめは鮮紅色でひらべったかった発疹が皮膚から盛り上がって、やがてほかの発疹とつながり、不整形な斑状になってきます。
その後、暗赤色となり、だんだん色が褪せていきます。この期間は高熱が続き、風邪のような上気道症状や結膜炎のような目の症状も一段とひどくなります。


・回復期

発疹が出て3~4日続いた高熱が下がりはじめ、回復期へと向かいます。風邪症状である上気道炎や目の結膜炎症状も軽くなってきて、合併症などがなければ、発症してから7~10日で回復するでしょう。
しかし体力が落ち、免疫力も低下しているため、ほかの感染症にかかると重症になる恐れがあります。1か月ほどは通常の生活には戻れないでしょう。麻疹は、高熱が1週間も続いて、さまざまな症状がでるため、合併症がなくても入院することが多いです。

■妊娠中の人が気をつけること
麻疹は「風疹」とは異なり、妊娠中にかかったからといって、先天性の奇形が生まれることは少ないといわれています。しかし流産や早産のリスクが高くなりますから、やはりかからないことが大事です。
麻疹を予防するためにはワクチン接種が欠かせませんが、妊娠中にワクチンを接種することはできません。現在、麻疹のワクチンは、風疹と一緒になった「MRワクチン」が使われています。このワクチンは、接種後2か月間は避妊が必要です。妊娠を希望する女性は、自分の免疫抗体を調べて、必要ならばワクチンの接種を済ませておきましょう。

■麻疹(はしか)の治療・予防はなにができる?


・治療法

残念ながら麻疹には特効薬がありません。そのため、治療で行われるのは患者の症状に合わせた対症療法だけです。また、肺炎や中耳炎などの合併症を起こすこともあるため、入院が必要になります。


・予防法

麻疹は、ワクチンを接種して発症そのものを予防することが重要です。接種時期は、1歳になったらできるだけ早く接種する必要があります。
麻疹ワクチンは、1978年から子どもを対象に定期接種が1回だけ行われてきました。しかし、1回だけの接種では免疫がつかない人がいることがわかり、2006年からは「MR(麻疹・風疹)ワクチン」が使用され、合計2回接種を行う制度ができました。
現在では定期接種として、1歳児と小学校入学前の1年間の2回、無料で受けられることになっています。また2008年から10代の免疫強化を目的として、中学1年と高校3年の2回、定期接種が行われています。
ここで注意してほしいのは、1990年4月2日以前の生まれの人です。この期間に生まれた人は、1回接種に該当するため、現在麻疹にかかる可能性が大変高いといえます。現在26歳~39歳までの人はリスクが高いので、ぜひ2度目の接種を受けるようにしましょう。
一方、40歳以上の世代は、定期接種などを受ける機会がなかったものの、多くの人が自然に感染していて免疫をもっており、罹患するリスクは少ないと考えられています。

■麻疹ワクチンについて
ワクチンが普及することで麻疹にかかる人は減り、麻疹ウィルスにさらされる機会が減ってきています。そのため予防接種を受けても免疫機能が強化される機会が乏しく、時間が経つにつれて麻疹ウィルスに対する免疫力が弱くなってきています。
大人が麻疹にかかると重症となる場合が多いので、自分に免疫があるのかどうか、血液検査で確認することができます。また、必要に応じて予防接種を受けましょう。
費用は各病院によって異なりますが、麻疹の抗体検査だけをしたいならば、自費となります。おおよそ5千円~1万円位でしょう。またワクチンの費用は、「MR」だと1回・1~1万5千円ほどですが、2回接種が必要ならば、2~3万円はかかることになります。

<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー


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