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原因は酒の飲み過ぎ? 「アルコール性認知症」とはどういもの?

2017-09-13


執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)
医療監修:株式会社とらうべ

認知症は単一の病気ではなく、「中核症状」と「BOSD:行動・心理症状」という共通の症状をもった「状態像」とも言われています。
そして、認知症の原因は70種類以上もあると言われています。

「アルコール認知症」は認知症のひとつです。
どのような原因や進行の特徴があるのでしょうか。詳しく見ていきます。

1.認知症の種類

「健常な成人になった人が病気や事故で脳をこわし、知的な能力の低下を招いて、一人で暮らしていくことが難しくなった状態」が、認知症の基本的な定義です。


日本では目下、認知症は急増していて、2025年には65歳以上の認知症患者数は約700万人に達すると言われており、65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症になると見込まれています。(平成28年版高齢社会白書、内閣府より)

ところで、認知症は単一の病気ではなく、共通の症状をもった「状態像」ともいわれ、認知症の原因は70種類以上あるとされています。

そんな認知症を大きく分けると、次の2つに分類されます。

1-1.脳変性疾患

原因不明で、脳の神経細胞が20~30年かけて徐々に壊れていく、狭義の認知症。
大脳皮質に萎縮が起こります。
アルツハイマー型やレビー小体型の認知症、ピック病が代表的です。

 

1-2.脳の病気や障害の後遺症

さまざまな脳疾患(脳血管障害、頭部外傷、脳炎、脳腫瘍など)の後遺症として発病します。
脳血管性認知症が代表的ですが、この部類に入るのが「アルコール性認知症」です。

2.アルコール性認知症とは?

アルコールを多量に飲み続けて、脳血管障害や栄養障害を起こし、その結果、発症するとされているのが「アルコール性認知症」です。
また、多量に飲み続けただけでも脳が萎縮するのではないかとも言われています。

日本ではアルコール依存症の高齢者は、80万いるといわれる依存症全体のおよそ20%を占め、60歳以上の治療中の患者の40%ほどに、認知症の症状がみられると報告されています。

また、アルツハイマー型やレビー小体型の認知症との合併例もあり、アルコール性認知症だけだと、ある程度治療で改善が期待されるものの、合併してしまうと改善が困難になるとされています。

3.アルコール性認知症の症状や特徴

3-1.アルコール依存症と同じ症状

・歩行が不安定になって、何かにつかまらないと歩けなくなる
・意欲が落ちて抑うつ状態になる
・興奮しやすくなり攻撃的で暴力を振るうようになる
・幻覚があらわれる

 

3-2.記憶障害や見当識障害

・ついさっきのことも覚えられないといった、もの忘れなどの記憶障害
・覚えていることを継ぎ合わせて作り話をする作話が起こる
(これも記憶障害のひとつですが、嘘をつこうとしているわけではありません。)
・周囲の状況が理解できず、今何時かとか、ここがどこかが判らなくなる見当識障害
(これらは、栄養障害が慢性化して起こるコルサコフ症候群の症状でもあります。)

 

3-3.行動に抑制がきかなくなる

・「欲しい」と思ったものを盗んできたり、他人の食べ物を食べたりする
・とにかく自分の思うままに行動して、問題行動になってしまう

4.アルコール性認知症への対応

4-1.早めの受診

アルツハイマー型認知症のように徐々に悪化するわけではなく、急に症状が現れる場合もあります。アルコールをいつも多量に飲んでいるなら、早く受診をさせて、そのさいに認知症も疑ってみる必要があるでしょう。

 

4-2.孤立の回避

アルコール依存症の高齢者には、孤立している方が多いといわれます。独居や家族による放置などがアルコールを飲む機会を増やしてしまうからでしょう。
家族がいれば孤立化させないこと、独居なら地域包括支援センターや民生委員など、地域ケアからの適切な対応を求めましょう。

 

4-3.介護負担が大きい時は専門機関を利用

医療機関で治療を受けても症状が改善しない場合は、家族では対処が難しくなるかもしれません。その場合、介護保険を利用したり自治体の福祉相談窓口を活用しましょう。
アルコール性認知症は原因がはっきりしていて予防が可能です。悪化を防ぐには、アルコール依存を絶つことと栄養をキチンと摂ることに、いかに早期にとり組めるかにかかってきます。
もちろん、それらの原因となる孤立の回避も重要な課題です

【参考】
朝田隆監修『ウルトラ図鑑認知症』法研、2016.
<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供


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