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急な発熱が…「スポーツや入浴で汗をかけばいい」という考えはあり?

2017-12-21


執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ

ある日のこと、喉の痛みと身体のだるさを感じたあなた。
久し振りに体温計を取り出し、測ってみるとやっぱり熱が・・・。
「どうしよう、明日も忙しいのに…。」

そんなとき、「スポーツや入浴でたくさん汗をかけば、早く治るのでは!?」と考える方がいるかもしれません。

しかし、ちょっと待ってください。
果たしてその考えは正しいのでしょうか?
ご一緒に詳しく見ていきましょう。

1.平熱と体温のコントロール機能

体温は脳の「温度調節中枢」によって、身体にとってちょうどよい温度=「平熱(へいねつ)」に設定されています。


そして、平熱を保つために、体外の環境に合わせて「温度調節中枢」が指令を出します。
その指令により、をかいて体温を下げたり、筋肉を収縮して発熱を促したりして、体温はこまかく調整されているのです。

これを「ホメオスタシス恒常性)」といいます。

2.発熱の生理的メカニズム

身体にウィルスや細菌などの感染源が入ると、退治しようとする体内の防御機能が発動します。
その役割を果たすのが、免疫機能の立役者である「白血球」や「マクロファージ」です。

これらは感染源を攻撃し始めると、「サイトカイン」という物質を作り出し、放出します。

サイトカインには「感染がおきたぞ!体温を上げて異物を撃退せよ!」、という指令を脳に伝えるメッセンジャーの役割があり、「発熱物質」とも呼ばれています。

しかし、ほぼすべての身体機能の中枢指令部である脳は、それ自体厳しく管理されています。

そのため、いわゆるセキュリティーチェックゲートである「血液脳関門(けつえきのうかんもん)」が、サイトカインを通過させません。

そこで、サイトカインは「プロスタグランジン」という、血液脳関門を通過できる物質を作り出し、発熱を起こすように「温度調節中枢」にメッセージを伝えます。

指令を受けた「温度調節中枢」は体温の設定を平熱より上げるとともに、全身に「皮膚の血管収縮」「鳥肌(皮膚の毛穴を閉じる)」などを起こして、熱を逃がさないようにします。

また、あわせて「筋肉を震わせる(悪寒)」などの熱産生(ねつさんせい)を促すなどの命令を出し、体温を高く保つ体制を作ります。

なぜなら、ウィルスや細菌は高温が苦手なこと、また、体内が高温になると、免疫機能が活性化し、感染源への攻撃力をさらに高めるからです。

このように「発熱」とはまさに、体内で感染源を総攻撃している状態といえるのです。

3.運動による体温上昇のメカニズム

運動による体温上昇は、おもに筋肉収縮活動によるもので、筋肉の糖質やグリコーゲンなどの栄養をエネルギーに換えて体温を上げます。

その効果は安静時の15倍にもなりますので、たくさんのエネルギー源の補給が必要になり、肝臓や脂肪に蓄えられている栄養をエネルギーに換えていきます。

また、筋肉を動かすことで、筋肉に血流を集中させるため、体表の血管が拡張し、内臓や脳への血流が減少すると同時に、急に上昇した体温を下げるために、発汗を促します。

このように、運動による体温上昇は発熱とは別の仕組みで体温を上げているのです。

4.発熱時の運動は体力を免疫力の低下を招く

このように、発熱とは体内で感染源を総攻撃している状態といえます。

そんな体内が緊急事態のときに運動すると、まず、発汗により体温が低下します。
さらに、急なエネルギーと栄養の消耗で、体力と免疫力の低下を招くのです。

つまり、発熱時の運動は免疫細胞の総攻撃を緩ませ、逆に、風邪などの感染源の活発な活動を促してしまい、かえって感染症を悪化させる結果になるのです。

5.発熱時の原則

このことから、発熱時は何よりも「安静」を心がけましょう。
無理に運動して汗をかき、体温と体力、免疫力を低下させないようにしましょう。

同じ理由から、解熱剤を使用するタイミングも注意が必要です。
服用のタイミングは、発熱をひきおこしている病気の種類や症状によって異なりますから、医師によく相談することをお勧めします。

【参考】
桑木共之・黒澤美枝子・高橋研一・細谷安彦/編訳『トートラ人体の構造と機能 第4版(原書第13版)』(2016年 丸善出版)
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供


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