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露天風呂でちょっと一杯、じつはとっても危険!?

2017-11-11

露天風呂でお酒


執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ

紅葉狩りを楽しんだついでに露天風呂に入り、秋の景色を肴にちょっと一杯・・・
そんな幸せなシチュエーションを思い描いてしまう時候です。

しかしながら、皆さま。
それは大変危険な行為ですから、夢にとどめておきましょう。
今回は、入浴中のお酒が危険な理由をご説明します。

1.入浴中の事故死

私たち日本人はお風呂好きだけに、入浴中の事故で亡くなる人も多いのです。

お風呂場

人口動態統計(厚生労働省)によると、2016年に不慮の溺死や溺水で亡くなっている人は7,464人にのぼります。

また、入浴中の事故死は年間14,000人を超えるという推計もあります
(国立保健医療科学院 統括研究官 鈴木 晃『住宅内の事故、とくに入浴中の事故を中心に』(https://www.niph.go.jp/soshiki/09seikatsu/arch/006.pdf))。

ますます肌寒くなるこれからの季節は、特に注意が必要だといえそうです。

2.お風呂とお酒の相性は最悪!

お風呂もお酒も、どちらも適切に活用すれば「健康」によい効果をもたらしてくれます。


■お酒の効用

酒は百薬の長」とは中国の史書『漢書』に由来します。
適度のアルコール摂取は心臓病などの循環器系疾患を抑えるというものです。

お酒は、食欲増進、ストレスの解消、コミュニケーションの円環性といった効果とあわせて、「血管を拡張させ血液の流れを良好にする」、「血行を改善して身体を温める」、「疲労回復への貢献」、「血管が詰まりにくくなる」といった、循環器系への効用が見込まれます。


■お風呂の効用

一方、お風呂の方は、医学的な健康作用としてよくあげられるのは、浮力作用によるリラックス効果です。

また、身体に水圧がかかることで、血液の循環が促進され(静水圧作用)、湯につかることで血管が広がり(温熱作用)、血流を改善し筋肉を柔軟にします。
ひいては、デトックスや疲労回復、慢性的な痛みの軽減などの効果はよく知られているところです。

しかし、二つが重なるとそうはいきません。
どちらも、血行を良くする効用があり、悪い意味での「相乗効果」となるのです。

以下のとおり、身体に大きな負担となる可能性が高いとされています。

・全身への血流量が増え、脳や心臓に回る血流が急激に減少する
ふらつきや、酷い症状では意識障害が起こることもあります。
浴槽内でおぼれたり、転倒したりするケースにもつながります。

・入浴中はアルコールが全身に回りやすい状態になる
とくに、脳血管での吸収が急激に増加すると激しい頭痛を伴うこともあり、脳卒中にも注意が必要です。

・アルコールの利尿作用と入浴の発汗により血液の水分が少なくなる
そうなることで血液の濃度が上がり、血栓ができやすくなります。
血栓は血管内の血小板や血液の塊で、これらが血管につまり、血流を止めてしまうことで心筋梗塞や脳梗塞が引き起こされます。

また、脱水症状から肝機能が低下し、アルコール分解が妨げられる症状も起こます。

3.さらに危険!冬のお風呂

風情あるの露天風呂。
雪見風呂なんて情緒たっぷりですが、入浴シーンとしては危険がいっぱいです。

なぜなら、短時間で皮膚が大きな温度変化にさらされるからです。

露天風呂のある寒い戸外に出ることで、鳥肌が立ちます。
これは、体温を逃がさないように血管が収縮し、血圧が上昇している状態です。

まもなく、熱いお湯につかります。
すると、今度は血圧が急激に上昇します。
やがて、お湯の中で落ち着くと、今度は急に血圧が下がります。

このように、寒暖の激しい変化が心臓や血管に強い影響を与え(ヒートショック)、さらに、アルコールがそれを促進して危険度を高めるのです。

4.飲酒は入浴前と後も気をつけて!

以上のように、入浴中の飲酒は危険がいっぱいですが、入浴直前・直後も大いに気をつけてください。

入浴前の深酒は、飲酒心拍が上昇しているところに、入浴でさらに心拍を上げるため、急激な血流の増量で脳や心臓への負担となります。

加えて、急速に酔いが回ることで意識障害を起こす可能性も高まり、結果として転倒などの事故につながる危険性も増します。

また入浴直後の飲酒も、入浴で血行が良くなっているところに、アルコールがさらに輪をかけることになってしまいます。

飲酒は、入浴後30分以上は空けるようにしましょう。

5.お風呂を楽しむためには安全な入浴を!

秋の風情に温泉三昧は、至福の楽しみです。
事故や不幸が起こらないよう、「安全な入浴」という観点から、次のポイントに気をつけて入浴を楽しみましょう。


5-1.熱いお湯にいきなり入らない

身体の末端から中心へと、お湯の熱さを身体になじませましょう。
それから、湯船にゆっくりとつかります。
いきなり全身浴は負担なので、はじめは半身浴もおすすめです。
ちなみに、適温は39~42℃といわれています。


5-2.入浴前後に水分をしっかり補給する

入浴で発汗が起きますから、入浴前後にコップ1杯ずつ水分補給をすると安心です。


5-3.食事・運動・飲酒の直前と直後には入浴しない

アルコールによる血管拡張や利尿作用で、脱水症状や血圧低下も起こりやすくなります。
また、食後や運動後は胃腸や筋肉に血液が必要です。
それが温熱で全身に回るとことで、消化や疲労回復の妨げにもつながるのです。

<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお かおるこ)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供


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