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春が近づくと気分が落ち込む… それは「気象病」のせい?

2018-03-01


執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)
医療監修:株式会社とらうべ

3月から4月にかけての早春は「木の芽時(このめどき)」とも呼ばれます。
冬から春への季節の変わり目は、体調や精神的なバランスを崩しやすい時期としてもよく知られています。
憂うつな気分に落ち込んだり、うつ病を発症したりしやすい時期なので要注意です。

こうした気象の変化に影響される疾患は、近年「気象病(あるいは天気病)」とも呼ばれるようになってきました。
今回はこの「気象病」について、詳しくみていきましょう。

1.気象病とは?

気象病は、医学用語ではありませんが「温度・湿度・気圧・天候の変化から起こる心身の不具合」として近年認知されてきました。
これと似ている「季節病」は、「ある特定の季節に集中して現れる心身の不調」とされています。



つまり、どちらも気象の変化に影響を受けるのですが、季節病は長期的な変化、気象病は短期的な変化に影響を受けるという点で区別しているようです。

代表的な季節病に、春の花粉症や冬のインフルエンザなどが挙げられます。

一方、気象病には心身のさまざまな疾患が分類されています。
関節痛、頭痛、耳鳴り、めまい、不整脈、高血圧、脳卒中、心筋梗塞、不眠、不安、抑うつなどです。

季節の移り目に気象病患者は増えるといわれています。

2.春の気象の特徴

1年で最も天候が変わりやすいのは冬から春と、夏から冬にかけてです。

この時期は、北緯33~55度付近で低気圧から延びる寒冷前線・温暖前線が頻繁に移動を繰り返すため、天気が変わりやすくなります。

たとえば、春先は低気圧が短い周期で行き来し、晴れの日が続かず気温・湿度・気圧が乱高下します。
寒暖差も激しく、最高気温が前日は25℃の夏日、翌日は10℃という極端な差になることもあります。
また、1日の最低気温と最高気温の差が激しくなる日内変動という現象も最近顕著に見られます。

3.気象に翻弄される「自律神経」

そんな気温・湿度・気圧といった気象の変化に対して、敏感に反応するのが「自律神経」です。

全身の調整や平衡感覚に関わっている自律神経は、体温調節でも重要な役割を果たしています。

自律神経は、気温が上がると末梢血管を開いたり発汗を促したりして放熱をしますし、気温が下がると末梢血管を収縮させて代謝を高め、体温を保とうとします。

気候の変動が激しいと、これらの調整も同じように激しくなりますから、つまりは自律神経の酷使につながります。
春先は、自律神経を疲弊させるストレスフルな季節であるといえるでしょう。

結果として、気象病に見られるさまざまな症状を引き起こすのです。

4.年度の変わり目:生活の変化も一因

天候だけでなく、社会生活においても「変動」が多くなりがちな時期です。



4月から新年度という組織・団体は多く、入学・入社・転勤・異動・昇進・転居・転向…など、社会生活が大きく変わる時期でもあります。

これまでなじんだ職場や住環境を去る、初めての仕事や環境に臨む、など大きな変化に適応するには、ある程度の時間と頑張りが必要です。
これが知らず知らずのうちに、心身へのストレスとして蓄積されていきます。

しかし、本人に頑張っている意識が強く、ストレスの慢性化に気づかないケースも多いのです。
こうした生活の変化も、天候同様に自律神経を激しく働かせる要因になってきます。

5.春の抑うつ

新年度はうつ病や統合失調症など精神疾患の新入院患者数が多くなる時期です。
また、患者である人たちも、この時期に調子が悪くなることが多いようです。

睡眠障害や不安障害が増えるという指摘もあります。
気圧の低下や日常生活の変化により、自律神経のバランスを崩してうつ病などの引き金になるのでしょう。

精神疾患に限らず、その一歩手前の「自律神経失調症」「適応障害」なども然り、やがては「5月病」「6月病」につながっていきます。

ちなみに、うつの主症状は、気分のレベルでいうと意欲の低下と興味の喪失です。
さらに、食欲不振や不眠、性欲減退、疲れやすいといった生理反応の低下も起こります。

6.春の不調の予防法は?

春が訪れる前の冬は、「冷え」と「乾燥」からもともと自律神経や免疫が弱っている状態といえます。
この状態を持ち越して下地にしてしまうと、春先の変化に耐えることが難しくなります。
ですから、冬のうちから次のことを実行し、習慣化しておきましょう。

●生活習慣を整える

⇒睡眠・休養・食事・運動を無理のない範囲でおこない、バランスよく調整しておく

●ストレスコーピング

⇒ストレスを上手に発散して、ストレスへの抵抗力を高めておく
そして、辛いときはひとりで悩まない、ひとりで頑張りすぎないことです。
抱え込まず、家族や相談できる相手に話を聞いてもらいましょう。

症状の程度によっては、早めに専門医を受診するほうが重症化を防げます。

【参考】
渡邊章範『その痛みやモヤモヤは「気象病」が原因だった』(青春出版社 2015年)
<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供


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