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増え続ける「子どものメタボ」 メタボな大人へを防ぐために。

2018-10-25


執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ

1948年から増加傾向にあった子どもの「体重平均値」はこの数年、横ばい状態になっています。
また、肥満傾向児の出現率も2003年からは減少傾向ですが、専門家は楽観視できないと指摘しています。

肥満の子どもはここ30年くらいで見ると2~3倍に増えていて、小学校高学年の10人に1人は肥満とのこと。
これは、現在50歳の成人が子どもの頃に比べると、およそ1.5倍の肥満率であるといいます。
かれらが成人になったとき、日本の生活習慣病はもっと広がる恐れがあるとみられています。

1.子どもの肥満とメタボ

2017年10月に発表されたWHO(世界保健機構)の統計によると、世界で肥満の子ども(5~19歳)は1億2400万人と推定され、過去40年間で10倍に増えたとのこと。
国別に見ると、日本の肥満率は14%と、米国(42%)や中国(29%)に比べると低いといえます。

しかし、原光彦医師(小児科医、東京家政学院大学教授)は、米国や中国と比較して肥満が少ないからメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群;メタボ)が少ないことにはならないとし、外来患者を含めた調査から「肥満の子どもの約4割がメタボ予備軍と指摘しています。

日本人の場合、肥満である人がメタボになる割合が高いとみています。

2.子どものメタボの定義

生活習慣病の原因にもなるメタボ
成人の場合、内臓脂肪型肥満に加えて、高血糖、高血圧、脂質代謝異常のいずれか二つを併せ持っていることが判定基準です。

子どももこれに準じて判定しますが、成人との違いを考慮し「小児期メタボリックシンドロームの診断基準(6~15歳)」として次のように定められています。

ウエスト周囲径(おへその高さの腹囲)

 ・男女とも、小学生75cm以上、中学生80cm以上 または
 ・ウエスト周囲径(cm)÷身長(cm)=0.5以上 ※身長の1/2以上

<選択項目>(下記項目のうち2項目以上)
 ・中性脂肪120mg/dl以上 かつ/または
  HDLコレステロール値(善玉コレステロール)40 mg/dl未満
 ・収縮期(最大)血圧125mmHg以上 かつ/または 拡張期(最小)血圧70mmHg以上
 ・空腹時血糖100mg/dl以上

参考までに『児童生徒の健康診断マニュアル』(日本学校保健会作成、文科省監修)は
小児肥満度(%)=(実測体重-標準体重)÷標準体重×100によって

 ・幼児では、肥満度15%以上が「肥満児」
 ・学童期以降では、軽度肥満20~30%、中等度肥満30~50%、高度肥満50%以上
と判定されています。

※日本学校保健会HP(http://www.hokenkai.or.jp/)

3.子どもの肥満の原因

子どもが成人してメタボにならないように、肥満を防ぐことが重要です。
それでは、どうして子どもが太るのでしょうか。

次のような原因が挙げられています。

●遺伝の影響

「肥満の遺伝3割、環境(生活習慣)7割」などといわれますが、両親が標準体重であれば10%、どちらかが肥満の場合50%、どちらも肥満の場合80%が遺伝するといわれています。

また、出生時の体重にも関連しています。
意外にも、出生時体重が低い場合、成人になってメタボを発症するリスクが高まることが厚労省より指摘されています。(※)
※厚生労働省 e-ヘルスネット『低体重児出産のメタボリックシンドロームのリスク』(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-06-002.html)

●食生活

食生活の欧米化やいつでも手軽に食べ物を入手できる便利さにともない「食べ過ぎ」が増えてきています。

 ・菓子パン、ファストフード、コンビニ弁当といった「手軽で高脂質な食習慣」のまん延
 ・ストレス食いの影響

ストレスによるイライラを、食べることを代償に解消するのが子どもにとって最も手ごろな方法です。
しかも、親はお腹いっぱい食べている子どもを「過食」とは感じにくく、むしろ「よく食べる良い子」と錯覚してしまうケースが少なくありません。

●身体活動の影響:運動不足

 ・テレビやゲームに熱中して家の中でじっとしている時間が長くなっている
中程度の肥満や高度肥満では、1日の視聴時間が200分を超えるなど、テレビやテレビゲームに費やす時間が長いほど肥満度が高くなることが明らかになりました(日本小児学会調査)。

なおかつ、こうした子どもの傾向は親のライフスタイルの影響を強く受けていることも強調されています。
つまり、親のテレビ(ゲーム)好きが子どもの肥満(メタボ)を生んでいるかもしれないのです。

 ・運動や遊びを軽視する傾向である
かつては一日中外で遊んでいるのが子どもの日常生活でした。
今は設備の整った運動施設やテーマパークなどが増えてはいるものの、子どもが自由に利用できていつでも開放されているわけではありません。
また、塾通いや習い事などにも関係があります。

 ・塾通いで夜型の生活を余儀なくされる
学校が終わって塾に通うと帰宅は夜の9時、10時。
それから食事・入浴などをすると寝るのは0時を過ぎてしまうことも。

しかも、塾の前に高脂質・高エネルギーの軽食、さらに帰ってきてからしっかりと食べるという食生活の場合、運動不足に加え、高カロリー食睡眠不足と続き、まさにメタボや生活習慣病への「最短コース」となりかねません。

●家庭環境の影響

 少子化、超高齢社会も子どもの肥満に影響を及ぼしています。
 2016年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数)は1.44の低水準で、一人っ子の割合は16%を超えているといいます。

 共働きの家庭で遊び相手もなく、テレビやゲームに熱中し、インスタント食品を多く食べ、塾に通って「孤食」で早食いになる…といったケースも少なくないと指摘されています。

4.子どもの肥満は大人より深刻!

子どもの肥満の約70%が大人になっても肥満のままだといわれています。
とくに年長になるほど大人の肥満につながりやすいことがわかっています。

幼児期肥満25%、学童期肥満40%、思春期肥満70~80%といわれています。
ここでいう思春期は10~18歳頃のことで、小学校高学年から高校にかけて肥満になると、大人の肥満に移行しやすい傾向にある、ということになります。

子どもの肥満は大人の肥満につながる、という予備知識のもと、早めに原因を解決していかなければなりません。

【参考】
・原光彦『こどものメタボが危ない!』(主婦と生活社 2008年)
・片山隆司監修『気をつけよう!子どもの肥満・ダイエット』(汐文社 2015年)
<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお かおるこ)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供


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