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「失神」は働き盛りが注意すべき病気のシグナル

2016-04-02


執筆:南部 洋子(看護師)
監修:志田 多果夫(医学博士)
失神」とはいわゆる「気絶」のことです。
脳の血流が瞬間的に遮断されることによって、一過性の瞬間的な意識喪失発作を起こし、姿勢の維持ができなくなる症状です。若いうちは、失神なんてよほどのことがない限り起こらないと思いがちですが、中高年になるとそれほど珍しいものではなくなります。
重大な疾患が隠れている場合や、失神の原因自体は大したことがなくても転倒によって大ケガを負うこともあるので、十分な注意が必要です。

■短時間の意識の喪失後に回復する

失神は立っているときに起こることが多く、目の前が真っ暗になる感じや、めまい感、悪心(おしん;はきけ、むかつき)などがあり、その後、顔面蒼白となって意識を喪失します。
けいれんを伴う場合もあります。意識消失やけいれんの時間は30秒以内と短く、横になって休息すれば意識は数分程度で完全に回復するケースが大半です。

■失神の前駆症状

多くの場合、意識を失う前に前駆症状(前兆)を自覚します。具体的には、目の前が暗くなったり、場合によっては白くなったりします。また、人の話し声が急に小さく聞こえたり、冷や汗をかいたり、血の気が引く感じ、不快感や吐き気など、いずれも血圧が低下した時の症状です。

これらの前駆症状に続いて意識を失います。意識を失うこと自体には自覚症状がないため、「気がついたら倒れていた」という場合が少なくありません。なお、前駆症状として頭痛や胸痛がある場合は、くも膜下出血や心臓病の可能性があり、重症のサインです。

■失神の主な3タイプ

失神は、大きく次の3タイプに分けられます。とはいえ、一般人には区別がつなないので、失神を自覚した際や他の人から指摘された場合は循環器内科を受診しましょう。

・神経調節性失神

最も多い失神で、いわゆる「脳貧血」です。顔色が悪くなり、立っていられなくなって座り込みます。
呼びかけても反応が鈍く、けいれんを起こしたり、倒れたりします。同じ姿勢で長時間立っていた時、急に立ち上がった時、睡眠不足や疲れが蓄積したときなどに起こりやすくなります。
これは、突然低血圧が起こることが原因で、立位で血圧を維持するための神経反射が破綻することで起こります。

・不整脈が原因の失神

このタイプの失神は突然死を起こす病気が隠れている場合もあり、気をつけなければなりません。
予兆がなく、横になっていても気を失う場合があります。再発率が高く、治療しないと発症者の2割程度が1年以内に死亡するという報告もあります。
特に不整脈によって引き起こされ、心筋梗塞や心筋症などの可能性があります。このほか、俗にぽっくり病と呼ばれる「ブルガダ症候群」など、突然死につながる病気のおそれもあります。

・脳動脈硬化症による失神

脳に血液を送る血管が動脈硬化を起こすことによる失神です。
極めて稀なものですが、年間で78万人が経験すると言われています。
症状としては、めまい、ふらふら感が主です。鎖骨下動脈に狭窄(血管の一部が細くなっていること)があったり、頸動脈の一部に狭窄があったりすると、急に失神を起こすことがあります。電車のつり革を持った時、後ろを振り向いた時、下を向いた時など、一定の姿勢で繰り返してふらつきを感じる特徴があります。

■仕事と失神 :失神のとらえ方

失神の原因を見つけることは困難です。失神発作の多くは一度きりであることも多く、そのような場合は、病気が原因とは考えにくく、自律神経反射を介するものと推測されます。

逆に、繰り返して失神発作が起こる時や、高血圧症、糖尿病、心臓・血管疾患、脳疾患など基礎疾患がある場合、高齢者である場合などは何らかの病気が原因となっていることが疑われます。長時間の立位・座位や排尿・排便後などが誘因となり、前駆症状を伴って失神がある場合などは、専門医を受診しましょう。

■診断と注意点

診断では、不整脈などの心疾患、脳動脈硬化症などの脳疾患などを考慮しながら、注意深く検査を進めます。特に異常が見つからなかった場合も、精神的ストレス、睡眠不足、過労、過度のアルコール摂取などを控えるべきです。もちろん、疾患が見つかった場合は悪化を防止するために禁止されます。


●執筆者プロフィール:
南部洋子(なんぶようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師 株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー


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